暮らしに会いに
4年経って「住み心地はどうですか?」建築家と建てた住まいを訪問
  • お気に入りのコレクションを眺める至福の時間。
    独創的な外観に包まれたオンリーワンの住まい

  • 川崎Aさんの家
  • 設計:津野恵美子 一級建築士事務所 津野建築設計室
  • 撮影:花岡 慎一
リビング
ご主人が座っているソファはアメリカのトーマス・モーザー(Thos.Moser)製

沖縄や東京のあちこちで出会ったヴィンテージ雑貨が映える空間と 300足を超える靴や服のコレクションの機能的な収納、なにより居心地の良いリビングにとても満足しています(ご主人)

「ぱっと見ていいね、と二人で選んでいたら、どんどん増えていた(笑)」インテリア雑貨に靴や洋服。でも「前の家は収納が少なくて、欲しいときに見つからないことも多くて」。そんなかつての悩みが想像できないほど、オシャレなセレクトショップのようでいてどこか遊びこころを感じさせるAさんご夫妻の住まい、実は60m2ほどの広さです。「部屋数よりも居心地の良いリビング」と「収納」にこだわった結果、1.4m高の収納の段差を生かして有効面積を増やした間取りは「起きて食べて着替えて靴を履いて出かける、が無駄なくできる、本当に使いやすい家」(奥様)に。
収納
家のすみずみに絶妙にレイアウトされた海外の看板やヴィンテージ雑貨は以前からのコレクション。アメリカ製のソファはご主人が雑誌で見つけたものを建築家の津野さんがボストンから取り寄せた逸品。ご主人がこだわったデンマークの老舗オーディオーメーカーBang&Olufsenから流れる音楽は心地よく、時間を忘れるほど快適です。
雑貨類

長屋の二世帯にして本当によかった。平日の夜はよく下にいますし、朝も見送ってくれ、夜は迎えてくれる。ほどよい距離感の幸せを感じています(奥様)

赤錆の独特の風合いが魅力の玄関扉は「津野さんが設計した実例で見て、二人で憧れて」取り入れたもの。外階段を隠すファサードとこの扉がニ世帯の「大きな玄関」のようになっています。実はAさんご夫婦の家、建築上は「長屋」つまり1階と共有部分が一切ないため「生活音や気配は全く感じません」が、朝タに顔を合わし、声をかけること で「安心感が違います」。「最もスープのさめない距離の二世帯かも」と津野さんが話す通り、お互いにほどよく関わり、ほどよく独立した大人の関係が保てるようです。この家に住んでからケンカも少なくなったと笑うお二人。「家にストレスがないので楽しいし、建ててよかった、と心から思っています」(ご主人)。
Editor's Eye

インテリアの演出を計算、「世界観」を提案する

建築模型
Aさんご夫妻が驚いた「模型」(右写真)。リビングの壁には今と同じディスプレイにソファ、ダイニングテーブルまで。「インテリアも設計提案の一部。住まいの全体を伝えるために作りました」(津野さん)

間取り図

間取り図

家づくりの流れ

2005年以前
家づくりを検討
2010年8月
土地契約
2010年10月
津野さんと契約
2010年10月
設計
2011年3月
着工
2011年9月
竣工

お住まいのDATA

所在地:神奈川県川崎市
家族構成:両親+夫婦+愛犬
敷地面積:116.20m2(35.21坪)
建築面積:67.44m2(20.43坪)
延床面積:118.45m2(35.89坪)
工法構造:木造軸組工法
(A世帯:59.52m2 / B世帯:58.93m2+ロフト他24.57m2)
竣工年月:2011年9月

取材後記

左から津野さん、Aさんご主人と奥様

Aさんのお宅は約4年前に竣工しました。お引越後も定期点検で時々訪問していましたが、今回暮らし方の取材という名目にかこつけて、のんびりとした気分で滞在させて頂きました。住宅の設計は、お話を頂いてからお引き渡しまでに最低でも一年はかかります。私たちは、その期間大量の図面を書き、打合をして、模型を作って検討を重ね、現場にも通い、誤解を恐れずに言えば我が子のような思い入れで対峙します。ですから、お引き渡しの時は嬉しさの反面、勝手な寂しさも抱えながら手を離すことになるのですが、 久しぶりにお邪魔したら、ご夫妻の素敵なコレクションと空間とがすっかりなじみ、「Aさんち」としての幸せなそうな空気がちゃんとできあがっていて安心しました。そんな実感を得る機会を与えて頂き心から感謝致します。