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竣工後の関わり
2018.7.17
津野 恵美子

こんにちは。
津野建築設計室の津野です。
首都圏は毎日うだるような暑さが続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
関西方面の方におかれましては、聞いたこともない規模の広さと規模の水害と、その後の暑さで心身ともにお疲れかと思います。1日も早い日常の暮らしが戻りますよう、お祈り申し上げます。

 

今日のブログは竣工後の関わりについてです。
建築家の仕事で注目されるのは、空間の美しさであったり、暮らしに寄り添ったプランであったり、断熱などの性能であったりと、主に設計中から引き渡し直後のストーリーです。
もちろんそこで設計料をいただくのが主業務ですので、日々の業務でもそのあたりの作業量が圧倒的に多いのですが、次にそれなりのボリュームを占めるのが、お引き渡し後のアフターフォローです。
先日弊社が設計した富士山麓の別荘の十年点検があり、今日その補修工事に立ち会ったので、その話を。

富士山麓の別荘は、富士北斜面の標高1100mくらいに位置し、東京から近い割にはとても涼しく、東京で35℃を超えた今日でも正午の気温が27℃くらい。日陰ではカーディガンを羽織って丁度いいくらいの天国ですが、冬は零下15℃まで下り、道路も凍結してしまうので、冬はクローズしてしまう夏の家です。
別荘は、普段人がいないため、なにか不具合があっても、なかなか気付かれず、わかった時には深刻な状況になってしまう怖さがあります。

竣工写真をまとめたHOUZZのページ↓もご興味が合えば覗いてみて下さい

https://www.houzz.jp/projects/933989

 

弊社では、別荘に限らず新築住宅の場合、竣工後
・半年・一年・二年・五年・十年
のタイミングで無料点検をしています。
(点検は無料ですが、修繕は規定の保証を過ぎた期間については有料です)
半年・一年は、設計、施工を起因とするトラブルの芽がないか、建具の狂いや軽微な割れなど1クール季節を経ることで出てくる不具合の調整。
二年は、構造や漏水などの重大な不具合を除いた保証が終了するので、その前の確認と修繕。
五年、十年は、屋外のシールや鉄部塗装、防水などの劣化具合のチェックと今後の修繕計画の目安策定を目的としています。

 

半年・一年時は、なにか想定外の現象や、重大な不具合が起こっていないか、どきどきしますが、十年目は間隔が空いてからの正式点検なので、別の緊張感があります.明瞭な不具合でなくても,山の中の厳しい環境に長年さらされることで弱点が浮かび上がってくることもあるからです.

緊張しながら室内外のみならず,屋根裏・床下まで覗ける範囲は全て確認しましたが,結露、カビ、漏水などの兆候なく、竣工当時と変わらぬ環境にほっとしました。

天井裏の様子

 

大きな不具合も見つからず、軒を深く取ったのが功を奏して、木板壁も状態は良好で塗り替えはまだ先で大丈夫そう。外壁周りは多少なりガタが出ていた、木製サッシの調整くらいでしたが、鉄扉に錆が浮き始めていたのと屋根の塗膜の劣化が始まっていたので、その塗り替えと、屋上部の防水トップコートの塗り替えを今年やることにしました。

深い軒下の外壁はまだ塗装の劣化もなく黒々として,庭の緑に映えます

一方落枝も多く遮るもののない屋根は傷が目立ち始めています

 

屋根と防水は山の中なので、落葉後におこなうことになり、今日は夏のご利用前の木製サッシの調整と鉄扉の塗り替えでしたが、お施主様からバルコニーにハンモックをつけたいとのご要望があり、急遽手配して取り付けました。
一言でハンモックと言っても耐荷重を取れる下地を準備して、とそれなりに大仕事ですが、無事取付完了。実際に試乗してみて長さを微調整して完成です。

壁に慎重に穴を開け,下地となる木材で埋めたら同じ外壁材でフタをしてフックをつけます

ハンモックの垂れた部分の高さが50cmくらいになるよう長さを調整

監督さんに試乗してもらったところ.人が乗ると30cmくらい沈みます.

こんな緑に囲まれた風が通る屋根付テラスで,ハンモックに揺られてビールなんて,最高なんでしょうね.

(といいつつ津野は下戸なので,残念ながらその楽しみは生涯わからないのですが..)

 

竣工時はお子さんも独立したあとで、大人が遊ぶ家でしたが、その後続々とお孫さんが産まれ、思えば五年点検時には手すりネットと、階段のベビーガードをつけ、今回十年目にはハンモック。お孫さんのご成長が目に見えるようです。
時を経ることで、家族の成長や思い出が刻まれていく。そんな幸せな時間をお手伝いできていることを実感できた点検でした。

屋根上の富士見テラスから見た富士山