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茅ヶ崎の家の植栽
2018.5.15
津野 恵美子

先日津野建築設計室で設計監理した,茅ヶ崎の家の植栽工事が完了しました.

この家は細長い通路を有する旗竿敷地で,周辺が全て隣地で囲われているため,どのようにプライバシーを確保するかが課題でした.

そこでリビングダイニング・浴室の共用部と寝室1室で三方を囲われた,居室の延長としての中庭と,玄関画面する前庭,洗濯室に面する裏庭の,性格の異なる三つの庭をつくって,プライバシーを確保しつつ,十分な採光通風を確保することにしました.

こうやって建築と庭の配置は決まったのですが,具体的になんの木を植えてどんな雰囲気の庭にするのか,というのは実は最後まで決めません.もちろん搬入や土の広さなどもあるので,だいたいどの程度の大きさのものにするかなどの技術的なことは決まっていますが,具体的な樹種などは白紙にしています.

外構工事前の状況

この状態で実際の光や風の入り方,土の状況などの最終的な庭の条件をグリーンデザイナーさんに見てもらってから,実際に植える木を選びます.

緑があるお庭はとてもよいものですが,生き物ですからちゃんと手を掛けていただかなければなりません.私たち建築家やグリーンデザイナーは,この敷地条件で最大限美しく,育てやすく,虫がつきにくいものは何かを検討してデザインしますが,そのあとはお施主様が育てていくもの.愛着を感じて楽しくお世話いただくことが重要なので,弊社では,お施主様にできるだけ圃場(庭木の畑)まで出向いていただいて,主要な木は選んでいただきます.

今回は春植えのお庭だったので,圃場に行く時期はまだ葉がでておらず,樹形で選ぶというちょっとハードルの高いお願いになってしまいましたが,広い圃場をくまなく見て選んでいただいたのが以下の三本.

左:中庭のイロハモミジ 中央:前庭のヒメシャラ 右:裏庭の常緑ヤマボウシ

もちろん好きな樹種だけ伝えて,グリーンデザイナーさんに選んでもらうことも可能ですが,同じ樹種でも枝振りも全く違いますし,「繊細な株立で」というイメージは同じでも幹の色や枝の伸び方など千差万別です.

この家でも,来訪前の仮決め時には中庭エゴノキ,前庭モミジ,裏庭ソヨゴで考えていましたが,お施主様が一目惚れしたイロハモミジは暮らしに密接した中庭に植えようとか,前庭ならば幹の色が赤くツヤがあるヒメシャラの方が冬も趣があるとか,裏庭はプライバシー上常緑がいいけど,ソヨゴよりヤマボウシの方が密度は低いけど好みに合うとか,行ってみないとわからないことがたくさんありました.

また圃場の方にその木の来歴や育て方などいろいろ聞けるのも魅力の一つ.圃場は広いスペースが必要な分,行きにくいところにあるのでお手数をお掛けしましたが,とてもよい収穫でした.

 

実際に植えられた木々です.

これからもこれらの木々が,お施主様との暮らしと一緒に幸せに育っていけますように.

今回はスナップ写真でのご紹介でしたが,竣工写真ができあがったら,またインテリアと合わせてご紹介します.