津野建築設計室の津野です。
先日森美術館で開催中の、レアンドロ・エルリッヒ展に行ってきました。
日本では金沢の二十一世紀美術館に恒久展示されている、<スイミング・プール>という作品が有名なアーティストです。
いわゆる「体験型」のアートという程度の認識のまま、何の予習もせずふらっと立ち寄りましたが、そこで体験したことと、普段考えている建築空間との間に、重要な示唆があると感じたので、そのことを書いてみます。
まずは作品のご紹介から。
暗闇の中ぷかぷかと浮かぶ船。内部発光しているので水面にゆらゆらボートの影が映っています。
・・・と思いきや、実は水面はなく、映ったようなゆがみや暗くフェイドアウトしていく下面も全てFRPで一体に作られたものでした。実際に見るとコンピュータ制御で自然に見えるように揺れているので、よりリアルに浮いたボートに見えます。
最初はボートの展示かと思わせて、「実際には存在しない水面」を見せる展示でした。
次にガラスケースの中に浮かぶ、ふわふわの雲でできたような日本列島。
斜めから見ても触りたくなるような質感ですが、
実は何層にも並べられたガラスに平面的に印刷されたもので、それぞれの要素に立体性はありません。
この作品がすごいのは、完全に真横まで行かないと平面である事がわからないこと。正面や斜めから見ていると、ごく間近までいってもふわふわの立体にしか見えません。
その他手前の黒い箱に座ると、ガラスの奥の教室で自分の幽霊が授業を受けているように見える作品や
床に置かれた壁の模型の上でポーズを取ると、45度傾けた鏡によって、壁によじ登って冒険している自分を見られる作品など
ごく簡単な仕掛けで、ちょっとずれた現実を体感できる仕掛けが満載でした。
それぞれをゲームのように楽しみながら、ふっと、「自分が体感している現実」と実際の現実にもズレがあるのではないか、無意識の思い込みで見過ごしている現実があるのではないか、と考えさせられます。
これは家の設計にも関係することで、思い込みや観察不足で、敷地やお施主様の隠れた、でも重要な特性を見過ごしてしまうと、ただのお仕着せの間取りと変わらなくなってしまいます。
頂いた条件の中で単純に解くだけではなく、住みこなす中でいろいろな発見があるような唯一無二の空間を作っていくのが私たちの仕事ですから、慣習や思い込みを廃した本当のリアルを見つける目を養う事が大事なのだと、改めて気づけたという意味で、今回の展覧会はとてもよい経験でした。
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