戸建て住宅の設計の場合、サイン計画の対象と言えば唯一、「表札」ということになります。当事務所では金属の切り文字などご提案することが多く、漢字だったりアルファベッドだったり、その都度フォントなども色々施主とご相談してこちらでそのデザインを提案し決定することが多いです。このブログでこの辺りもいつかお話しをしたいと思っていたのですが、写真を用いると施主のお名前を示すことになるため躊躇していたところ、ちょうど店舗（カフェ）併用住宅が完成、その店前の壁に設置する看板であれば問題無いと思うので、今回取り上げてみることにします。

写真は真鍮の切り文字で（よって徐々に金色がくすんだ感じになります）、背面にスタッドボルト（ピン状の突起）が複数出ていて、壁に穴をあけてこのスタッドを差し込み、ボンドで固定という仕組みです。壁面からは１cm浮かせて固定することが多く、汚れ防止や影の効果などを考えての対応です。

今回フォントに関しては「手書き風でラフな感じ」という施主のご要望でしたので、実際に手で書いてもみたのですがなかなかうまくいかず、結局フリーフォントをベースに各種ソフト上で加工を加え、更に各文字を多少回転したり、文字間をわざと伸び縮みさせたり、少し変化をつけてみました。午後はちょうど木漏れ日も当たる木塀に設置ということも相まって、全体として柔らかい雰囲気にまとまったかな～と思っていますが、いかがでしょうか？

サインや表札は、通常工事のラストで設置することが多く、竜の絵に瞳を描きいれるがごとく、最後に建築を引き締め、これで完成！引渡し、という流れ。なので私個人としては、晴れ晴れしい気持ちと同時に少しだけ寂しい気持ちになることもしばしば…。

そんな体験もかれこれ50回を迎えます。