暮らしに会いに
2年経って「住み心地はどうですか?」建築家と建てた住まいを訪問
天窓からの光は期待以上の気持ちよさ
最小限のもので快適に心地よく
シンプルな暮らしを実現しました(妹)
おうちってこういう形だよね!Iさん姉妹が迷わず選んだ切妻屋根の設計図、その原点は幼少の頃に読んだ「ちいさないえ」という絵本です。表紙の三角屋根が私たちのイメージだったと笑うお二人、それぞれ仕事を持ち生活時間も趣味も違う姉妹の共同生活は3軒目にして初の完全分離の二世帯、玄関から別の、いわゆる長屋の戸建てです。2階は妹のRさんの住まい。白をベースに「経年変化を楽しみたい」と無垢の床や素材にこだわったほか、モノを外に出さないように導線に沿った収納を配置、その収納でLDKと寝室をそれぞれ独立した空間に分けるなど、シンプルで機能的な間取りが特徴です。

隣家に面する南側は閉じつつ中央にスリット窓を設け、光だけでなく下に住むお姉さんの気配を感じる設計。また東側全面の窓や天窓から差し込む光は真っ白な室内に反射し、気持ちのよい空問に。冷暖房は「エアコン1台と床暖房ですが、十分快適です!(Rさん)

祖母から受け継いだミシンに
妹や親族からもらった宝物に囲まれて。
「狭い気持ちよさ」を実感中です(姉)
「妹と違ってモノが捨てられない(笑)」姉のYさんは、「最初は狭い!と思ったんですけど、住んでみると愛着がわいてきて。すみっこというか、いい感じ」。
リビング壁の全面収納、小上がりの下に押し人れ、寝室上のロフトに本棚など最大量の収納に加え「老後のことを考えて1階で、バリアフリーに」した間取りは使いやすく、水回りはホテルのようにエレガント、暮し上手、センスのよさはさすが姉妹、そっくりです。将来の賃貸も視野に人れて長屋にし、施主支給や既製品を使うなど工夫して建てた「おとなのちいさないえ」。多様なライフスタイルと新しい住まい方に気づきました。

【1階リビング】 オークの無垢材は「明るいかと思ったけど家具が落ち着いた茶系のものが多いのでこの色で良かった」。キッチンは2階と同じシステムズヤジマのキッチン(賛助会)で一目ぼれしたもの。
Editor's Eye
“異なるデザイン”を違和感なく同居させる設計力
同じキッチンでも1階は大判のグレー、2階はヘリンボーンと、壁が違うと全く違う印象。1階はコージーで2階はシンプルと、住み手の志向が異なるのに家全体はどこも同じように「ここちよい」。これは「姉妹でも似ているようで違う」ライフスタイルのお二人の一人時間を尊重しつつ家族がいる安心感、ぬくもりを織り込んだ設計で同居、近居の参考になる。
ギャラリー
間取り図
家づくりの流れ
- 2008年
- 中古住宅を購入・入居
東日本大震災で瓦がずれる
耐震に課題がみつかる - 2015年3月
- 田園都市建築家の会を訪問
- 2015年3月
- 山田さんの施工事例を見学
設計契約を結ぶ - 2015年5月
- 打合せ開始
- 2015年10月
- 仮住まいへ引っ越し
- 2015年12月
- 着工
- 2016年10月
- 竣工
お住まいのDATA
所在地:東京都西東京市
家族構成:姉+妹
敷地面積: 78.18m2(23.69 坪)
建築面積:38.92m2(11.79 坪)
延床面積: 77.84m2(23.58 坪)
工法構造:木造軸組工法
竣工年月:2016年5月
取材後記

Iさん姉妹と山田さん
建築家はクライアントに寄り添う事で、一時的にその方々のライフスタイルや生き方を体現しつつ設計監理をしています。そのため新たな世界観や価値観に触れる事ができる仕事でもあります。(最終的にはどのクライアントさんも自分の親戚のような気分になっております…)
今回は「姉妹の二世帯住宅」という事でこれまた未開の扉を開ける事になったのですが、性格もライフスタイルも趣味も違う、だけど仲の良いお二人が一緒に住まわれる世帯住宅の設計はとても素敵な体験でした。今回再度お邪魔させて頂きましたが、それぞれの個性が表れたお住まいになっていました。また取材時は今編集者さんも含めて「女子会」のような和やかな雰囲気で、設計時の打合せもこんな感じだったなーとこのご縁を頂いた事に再度感謝いたしました。