暮らしに会いに
1年半経って「住み心地はどうですか?」建築家と建てた住まいを訪問
  • 里山は子どもたちの絶好の遊び場
    土間で家族と自然を繋げる、新しい住まい方

  • 鎌倉市Yさんの家
  • 設計:桑原茂建築設計事務所
  • 撮影:花岡 慎一
土間からそのままリビングへ。足場板が貼られた床は無垢の柔らかさが心地よい。ダイニングのペンダントライトは建築家 桑原さんのオリジナル。

昨日もお友だちと土間でたこ焼きパーティ。
鬼ごっこしたり走り回ったりする子どもたちを見ながら
リビングでゆったり過ごすことが多いですね(奥様)

鎌倉の里山を借景に、通勤にも便利な閑静な住宅地に建つYさんの家。銀がかった黒い外観はクールな印象ですが、木製の玄関ドアを開けると一変して光と緑に溢れた明るい空間が。広い土間に鉄製の階段やリビング、庭へと視界が広がります。中でも土間はYさん一家のこだわりの場所。ご主人がパイクの手入れやDIYをすれば、庭や里山を元気に走り回る子どもたちやお友だちが大集合。風どおりがよく広い土間は全面ガラス扉で仕切ることもでき、リビングとひと続きの空間にも独立した場にもなる、まさに「決まりきった使い方をしない」外と中を繋ぐ空間で、ご夫妻の希望を実現しています。
5.4mの吹き抜けの開放感も格別。冬の陽光を招き、夏の暑さを凌ぐ設引に、「春は桜が楽しめます」(奥様)と四季折々の景色が窓を彩ります。土間の壁は全面収納に見えますが、1ヶ所を開けると和室が。小上がりの設計は離れのような特別感、濃緑の壁紙に額緑のような小さな窓は端正で美しい空間です。

子ども部屋は壁で囲むのではなく「居場所」。
8メートルのカウンター机で本を読んだり書きものをしたり窓の外を眺めたり。自然を感じながら暮らしています(ご主人)

そろそろ家をと建売住宅から検討していた時、“家は、買うものではなく、つくる もの。”という同会のキャッチコピーに出会い、「自然豊かな落ち着いた場所に家を建てて子育てをしたい」と家づくりをスタート。あちこち探し回って見つけた里山の土地で設計コンべを開催、桑原さんの提案は「子どもたちが楽しく遊ぶイメージが沸いて、即決でした」(ご主人)。「子どもの元気な声が帰ってきてうれしいわ」とご近所さん。落ち着きと温かみのあるこの町は、最近建て替えで同世代の家族が増えているそう。近所の子どもたちも集まって里山を探検し土問で遊ぶ日々、新しくて洗練された家なのにどこか懐かしい、日本の原風景がありました。
Editor's Eye

1年間の太陽の軌道から解析した採光プランと庇

夏の日射しは水平な庇と南の里山でカット、冬は葉が落ちた里山から差し込む太陽が吹き抜の大きな窓から差し込むように2階部分の庇はない。「太陽の年間軌道を解祈した(桑原さん)」計算された設計で1 年中明るいそう。2階のスタディーコーナーからの惜景も見事。

間取り図

間取り図

家づくりの流れ

2012年6月
家づくりを検討
田園都市建築家の会を知る
2013年2月
田園都市建築家の会と土地探しをスタート
2013年5月
同会の建築家コンペを実施
桑原さんと契約
2014年5月
着工
2015年3月
竣工

お住まいのDATA

所在地:神奈川県鎌倉市
家族構成:夫婦+子ども3人
敷地面積:205.74m2(62.2坪)
建築面積:61.69m2(18.6坪)
延床面積:112.20m2(33.9坪)
工法構造:木造軸組工法
竣工年月:2015年3月

取材後記

左から土地探しを担当した同会の当山、Yさんご夫婦/離れの和室にて

借景とは巧みな言い回しですが、この敷地が面する里山は眺める対象以上の存在。この地の魅力を引き出すには弱点である日照のケアが必要だと考え、陽光を受け入れる為の吹抜けと窓の配置を何度もシミュレーションしたのを覚えています。里山との暮らしを私なりに想像しながら、家を土間で貫いたり家族の机を8m長にしたりとアイデアを膨らませました。来訪させて頂く度に、里山との結びつきが深まっているご様子にホッとしています。設計中は打合せやショールーム視察など多くの時間をご一緒させて貰いました。ご主人のご実家のある広島にも伺いましたし、先日は奥様のご両親が飛騨で始められた古民家宿にも宿泊させて貰ったばかり、誠に仕事冥利の一言に尽きます。お子様の成長も楽しみなので、また遊びに伺わせて頂くつもりです。