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富岡製糸場
2019.6.7
津野 恵美子

こんにちは。津野建築設計室の津野です。

 

プロフィールに趣味は建築旅行とかきつつ、業務の忙しさにかまけての出不精が続いておりましたが、先日日帰りで群馬県の富岡に行ってきました!

二件しかない近代建築の国宝(もうひとつは赤坂離宮)である富岡製紙場は、明治初期にフランス人の建築家バスティアンの設計による、木骨煉瓦造の工場建築です。世界遺産にも認定されているので、いらっしゃった方も多いのでは。

エントランスから見える東繭倉庫

今回個人的に一番興味があったのは煉瓦と木造大架構の内部空間。

日本の古建築によく見られる大屋根は、持ち送りの大量の垂木や桝組の繊細さと壮麗な大屋根が美しい構法ですが、実は大屋根を作る構法で、大室内空間を作る構法ではありません。(東大寺などの大仏様は例外ですが)

外観としての大屋根だけでなく、内観としての大空間を経験するには洋小屋であるトラス構造を待たねばならず、富岡製糸場は日本における初期の洋小屋の大空間を味わうのに良い事例です。

で、念願の木造トラス!

 

と言っても若干フライング。

東繭倉庫の二階なので、塗装もされておらず、中央に柱もあるし、いわゆる富岡のトラス屋根ではありませんが、人も少なく、展示品もない大空間で、集成材もない時代の大断面木材の重量感と合わせて、機能優先の簡素さがとても美しかったです。

そして本丸の繰糸場

室内は壁・天井・梁とも全て白く塗られて、機械や繭を運ぶトロッコが整然と並ぶ機能的な大空間。伝統的な日本建築の低さと暗さに慣れた当時の人たちにとってはまぶしいほどの明るさだったでしょう。女工さんと聞くと哀史の非道さや暗さを連想しますが、明るく清潔で、病院も完備され、建築の作り方として、労働者にできるだけ快適な環境を提供しようとする姿勢が印象的でした。

一列に並ぶ繰糸機。鉄っぽい部品の重量感がかっこいい。

木骨煉瓦造(木の軸組の間にレンガを積む構法)の煉瓦。フランス人の建築家だからフランス積み?

美しく強いと言われる積み方なので、政府肝いりの工場建設だから選ばれたものかと思いますが。

庭の小さな倉庫も煉瓦積み。

こっちはイギリス積みですが、煉瓦の小さな箱と和瓦の木架構の対比が美しかったのでぱしゃり。

 

他にも、コンペで選ばれた富岡駅や、富岡市庁舎、商工会議所など、現代建築にも有名な作品が多数あったり、大谷石の古い教会蔵が点在していたりと町歩きも楽しく、近いながらも充実した小旅行でした。

大断面の木造大空間、やりたいなあ。。