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日本の住まいの価値と寿命……その1
2018.6.5
高橋 隆博

アトリエ秀の高橋隆博です。

私が大学を卒業し、この仕事に就き早30年が経ちます。そして、これまでことあるごとに疑念の思いに苛まれてきた一つに、日本の建築の、いや住宅の寿命があります。そして最近になり、そこに一筋の光明が差す様になり、日頃の講演やセミナーでも話す機会が増えてきました。これから数回に渡り「日本の住まいの価値と寿命」について触れていきたいと思います。

修業時代から様々な建築や空間、はたまた街づくりなど、建築家としては大変恵まれた経験をさせて頂いております。住居は建築の根源〜と、取り分け、いつの時代も家づくり(住まいづくり)は大切にして参りました。

量から質の時代へ入り、円熟期を迎えた頃がバブル時代もやってきました。当時、100年住宅というキーワードが生まれ、ある意味政策的にも家の長寿命化が謳われる様になっていました。それ以降というもの材料、工法、設計手法などあらゆる面で発展し、200年住宅が謳われる昨今では、かつて戦後のどさくさや、兎小屋とか高度成長時代の粗悪な大量生産品等と評された時代が嘘の様に、当時から比べると、品質や性能からデザインに至まで良質な住宅が当り前に新築され、注文住宅も珍しくなくなっています。

そして経済のピークが過ぎると日本の人口もピークを迎え、時代は全てが大きく縮小の時代へ舵を切ったことは今更言うまでもありません。しかし、人口および世帯数減り続ける中、住宅の新築着工数は横ばい(微増)が続いています。物あまりの時代は住宅も同じ事、空き家は一つの社会問題にもなっています。しかし驚く事に、新築着工戸数の上昇と人口世帯数の減少の割合とストック(空き家)には隔たりが有り、結局はスクラップ&ビルドであり壊される割合が多いということが統計から読み取れるのです。

そうなのです!品質、性能、デザインなど、全体としては顕著な向上が見られるものの、日本の住宅の寿命はそれ程伸びていない!!!未だ木造では平均30年前後なのです。。。。。。結局、住み継がれる事なく、一世代または所有者が変わると壊されてしまう確立が大きいのです。あれ?100年住宅、200年住宅は?!?!......次号につづく。

 

写真は先日、札幌〜旭川の視察に訪れた時に堪能した両極端の住宅です。共に札幌の郊外に佇む、50年前の先進的なエコハウスと、建築家達がこれからの北海道住宅を模索した建売り住宅です。

50年前のエコハウス「上遠野邸」コルテン鋼と煉瓦に床暖房

 

南幌町「みどり野きた住まいるビレッジ」様々な建築家による次世代の北海道住宅を模索した建売り住宅