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たびブロ その1(豊島美術館)
2018.6.14
吉田 立
こんにちは、田園都市建築家の会の吉田です。
先日、瀬戸内海にある豊島へ行ってきました。
建築好きのみなさんはご存知のことと思いますが目的はそう、豊島美術館。

豊島美術館;写真撮影禁止のため絵葉書で

西沢立衛氏と内藤礼氏による建物とアートが一体となった空間。
以前より一度体験してみたいと思っていた空間でしたが、期待を大きく上回る空間体験、そして豊島自体の存在、空気、移動、全てが環境体験展示と呼べるくらいの素晴らしいものでした。
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ただ、この豊島への旅、船便が少なくアクセスに悩みました。
せっかくですのでここで道案内を兼ねて私の辿った道をご紹介しておきます。
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豊島へのフェリーは、岡山側と香川側からアクセス可能。
今回は便数の多さからfrom岡山のアクセスにしました。
from岡山、2度言いました。
まず、岡山駅から宇野港へは特急バスが便利。
約30分おき、所要時間1時間で宇野港へ到着です。
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宇野港からはフェリーで豊島へ。
とにかく便数が少ないので、このフェリーの時間を最初に決めておくのが肝心です。いや、本当にここが豊島旅のポイントです。
美術館が10時スタートですので、移動を含めて30〜1時間前に着いておくと余裕をもって楽しめるかと思います。
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豊島には家裏港と唐櫃(からと)港、2つの港があります。
唐櫃へ行くフェリーは限られていますが、豊島美術館をメインに見るならば、唐櫃(からと)港が断然お勧めです。
理由は後述にてご確認ください。
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とりあえずバスで宇野港へ到着したらフェリー乗り場へ。
フェリー乗り場は2つ(船会社が別)あるので、手っ取り早く係員さんに聞きましょう。
バスの到着が遅れたため、親切な係員さんが自転車で別の乗り場へ行ってくれて、私たちの乗船まで船を待たせてくれました。感謝です。
時間ギリギリになってしまった他の方達へも一生懸命に自転車をこいでご案内されていたので、日頃からとてもご親切な対応をされていることが伝わってきました。
フェリーに乗ると、9割を近くが諸外国の方々。
旅をすると感じますが、海外の方の方が、日本人よりも日本の文化に興味を持たれているように感じます。
日本の津々浦々、外国人観光客を目にしない観光地はほとんどありません。
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豊島の家浦港で約1/3ほどの人を降ろし、いよいよ唐櫃港へ。約30分の船旅でした。
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唐櫃から島内の移動はバスか自転車。車や電動バイクもありますが、お勧めは自転車です。
自転車無くしてこの豊島ならではの環境体験、移動体験は味わえない、と普段自転車に全く乗らない私が断言しておきます(笑)。
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この日営業していたレンタルサイクルは1軒のみ。
帰りに乗りたいフェリーの便をお伝えすると的確に返却場所や時間を案内してくれます。
私は4時間(だったかな?)、家浦港に乗り捨てオプション付きで千円くらいでした。
基本島内は坂道です。体力に自信のない私は電動自転車を選択。
いや、電動自転車、楽(しい)ですね、本当に。
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自転車を借りたら島内散策の始まりです。
とりあえず自転車屋さんのお勧めのままに、漁村を抜けてクリスチャン・ボルタンスキ作「心臓音のアーカイブ」へ。勉強不足のため彼に関する予備知識がありませんが、ロケーションが美しい展示スペースが印象的。ただ、豊島美術館へ開館時間に行きたかったのでここはスキップ。
 ◇
途中、猫たちの誘惑に負け、路地へ誘い込まれて開館時間を過ぎてしまいます。
不覚、いやでもこれは抗えません。ニャー。
唐櫃港へ戻り豊島美術館への坂道を登ります。
電動自転車なのでとても清々しく坂道の景色が後ろへ流れていきます。
急勾配のため、みるみる眼下に美しい景色が広がっていきます。
前方には緑の生命感でいっぱいの木々たち、後方には瀬戸内海に浮かぶ島々。
陳腐な表現ですが、肌をなでる風を含めて映画かアニメ世界に迷い込んだかのようです。
美しい景色と命の匂い、心地よい風を堪能していると、いつのまにか豊島美術館の前に到着していました。
いつのまにか、というのは、建物自体は道路からは見えず、あまり目立つ看板もなく、こぎれいなバス停のみが佇んでいるだけなので、普通に通り過ぎてしまいそうでした。
自転車を停めて受付へ。
受付を出ると建物が見えてくるものの、散歩道のようなアプローチへ迂回して本館へ。
 ◇
このアプローチも豊島の息吹を感じられ、島の深部へ進むような移動体験になっています。
そこを進むといよいよ建物への入り口が見えてきます。
なにか祠の入り口のような、サウナの窯への入り口のような。
ここで係の方の案内があり、靴を脱ぐこと、撮影録音が禁止であることが伝えられます。
外で靴を脱ぐのかー、雨の日どうしてるのかな、と思いつつ靴を脱いだついでに裸足になり、いざ展示空間内へ侵入。
 ◇
細い入り口を通過すると、予想していたよりたくさんの人が居る景色が目に入ってきました。
とはいえ、別に人が密集していた、という訳ではありません。
視界に入る限り柱も壁も何もない広大な空間(実際には40mx60mの無柱空間)。
そこに佇む人、床に寝そべる人、瞑想する人。その突起物が目に入った、という感覚でしょうか。
数歩進むと、その静寂の空間に身体を馴染ませる必要があることを認識します。
ここでは誰かと話すことも、うるさい歩き方(?うまい表現がみあたりませんが)も、似つかわしくありません。
空間に身体が馴染むと、目の前に広がる異空間と、風の音、緑や鳥、虫たちの囁きが響き渡ります。
天井の大きな開口からは豊島の自然が象徴的な何かの対象物として見えてきます。
よくピクチャーウインドウという言葉が使われますね。
景色を絵画のように切り取る窓、というのが一般的かと思います。
ただ、この豊島美術館の開口部は、一般のそれとは全く異なるように思いました。
これは、開口部を通すことでその対象と一体となるような、裏表が逆転してしまうような開口部体験?です。
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同様に空を切り取った空間が、直島の地中美術館と金沢の21世紀美術館にあります。
ジェームスタレルさんのブループラネットスカイ、という作品です。
豊島美術館と同じように天井を切り抜いた開口部が特徴ですが、豊島美術館の開口部とは真逆の切り取り方に感じました。ブループラネットスカイを見たときも感激しましたが、私は豊島美術館で完全に感覚をアップデートされてしまいました。
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そして足元に転がる水滴。
この水滴が絶妙です。
一つの水滴が生き物のように尾を引いて次の水滴に乗り移る、そして次の水溜りに。大きな水溜りもたくさんの水滴を後に残しながら次の水滴へ移り変わってゆきます。
おそらく、見る人それぞれの想いを反映させる、今までにない「リアルな生き物」の展示ではないでしょうか。
風にたなびく白い紐、木々や自然の声、水琴窟のような水音、わずかな擦り音。
気づいた時には入館から100分近くが経過していました。
 ◇
名残惜しさとともに展示空間を後にし、靴を履こうとすると、入館待ちの長い行列が。
そう、早い時間に入ったので気づかなかったのですが、入場人数の調整をしているようです。
中に入ると時間制限のようなものもありませんので、私のような時間を忘れた者がいると、並んでいる人たちはいつ入れるのか見当がつきません。
なので、ここは朝いちばんで回ることをお勧めしておきます。
 ◆
さて、ここでアップデートされた感覚のまま豊島をサイクリング続行。
何か島を感じる感覚がちょっと変わった感じがします。
また、それを維持させてくれる環境が残されているということでしょうね。
 ◇
豊島美術館の坂を登りきると背後には丘と海。
ココイチの美しさです。インスタ映えします(インスタやっていないのですが)。
平日のせいか残念ながら唐櫃地区のほかの施設はほとんどがクローズ。
でも軒の低い街並みの中を移動していると、自然と人との関わりに思いを馳せることができます。
街を出ると道はアップダウンを繰り返し、移りゆく景色とともに家浦港へ近づいていきます。
車もほとんど通らないので、島の音を聞きながら本当に開放感に溢れた移動がつづきます。
島移動体験。うーん、こういう言葉では無いのですが、とりあえずブログの中ではここが限界。
続きはぜひ行って体験してみてください。
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私たちはこのあと「海のレストラン」で昼食をとり、家浦港から直島に渡りました。
家浦港に着いたら、自転車屋さんが軽トラックで自転車を回収しにきていました。
朝お会いしたのに何か懐かしさとともにご挨拶。
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この美術館前後の体験を含めた、ピュアな気分での島体験ができるのが唐櫃港からのアクセスかなと思います。
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直島に移動してしまえば、直島〜宇野間はたくさんのフェリーが出ていますので、あまり時間にシビアにならなくても大丈夫かな。
ブログ長いですね(笑、いや笑えないかも)
これ以外で聞きたいことがあったらぜひコメント欄でお聞きください。
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このあとは尾道〜宮島へ廻りました。
こちらも素晴らしい体験でしたのでまたの機会に。
吉田

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