暮らしに会いに
1年3か月経って「住み心地はどうですか?」建築家と建てた住まいを訪問
コンロをアイランド型にしたキッチンは実用的。
動線のおかげで家事効率がアップ、
自分の時間が取れ、ゆったりと過ごせるように(奥様)
大きな窓と跳ね出したテラスがダイナミツクな印象を与えるOさん邸。窓やルーフテラスから眼下に桜を楽しめるという賛沢な間取りは100m2とコンパクト、ですが開放的に感じる理由はスキップフロアとテラスと設計の妙です。
例えば玄関の正面、中2階のホール前は壁にせず格子のデザイン建具で仕切り、気配だけでなく光や風を通します。家の中心を貫く鉄骨階段はスケルトン、バスルームや子ども部屋の隣りはテラス。「目に緑が入ってリラックスできる、と建築家の吉田さんが教えてくれた通り(笑)」(奥様)と話されるほど、テラスは暮らしにゆとりを与えています。
生活の中心は2階ダイニングと2.5階のリビング。キッチンは「イギリス人シェフ ジェイミー・オリヴァーに倣ってコンロをアイランドに設置」して調理効率アップ、オーダーキッチンは面材のデザインをクラシックなデザインに仕上げ、ロンドン駐在時代に集めたアンティーク家具が上手にコーディネートされています。
バスルームや和室から見るテラスの緑は目に優しく、ルーフテラスは開放的、ビールを飲んだり読書をしたり、テラスのあるこの家は本当にくつろげます(ご主人)
スキップフロアと建具や壁で仕切りつつも緩やかにつながる、さらにプライバシーは保つ設計は「まさにその通り。先日娘のお友だちが10人以上来た時も、あちこちの階段や和室に座っておしゃべり」(奥様)。一方で「お子さんが一人の時間を持てる個室は必要」と吉田さんに提案されたお二人、この家で子どもたちが自立し始めたことを実感します。大人と近い距離をつくります」。設計段階から家づくりに関わり、どこに何を置いてどう暮らすか想定していたので愛着があり、違和感なく住み始めましたと奥様、「希望通りの家。長いお付き合いの中で信頼関係ができた」とご主人。「住んでからもいい思い出が続いている」テラスのある家、新メンバー愛犬サ ルサも自分の居場所を見つけたようです。
Editor's Eye
屋上活用のカギは「短い階段」
Oさん宅は水回りからわずか7段でルーフテラスにつながっている。毎日洗濯で昇り降りする奥様に聞くと、特段負担はないそう。ご主人は「週末はデッキチェアに転がって読書したり筋トレしたり(笑)」と満喫中。建築家の吉田さんによると「屋上まで1階分登る設計だと、やがて使われなくなるケースが多い。短い階段で負担感が減らせます」。扉もガラスで明るく開放的、行きたくなるテラスだ。
ギャラリー
間取り図
家づくりの流れ
- 2013年
- 田園都市建築家の会玉縄プロジェクトで吉田さんを知る。コーディネーターの当山さんと土地探しなどを始める。
- 2015年6月
- 現在の土地を契約
- 2016年7月
- 着工
- 2017年2月
- 竣工
お住まいのDATA
所在地:神奈川県逗子市
家族構成:夫婦+子ども2人+愛犬
敷地面積: 104.23m2(31.52坪)
建築面積:51.13m2(15.46坪)
延床面積: 100.11m2(30.28坪)
工法構造:木造軸組工法
竣工年月:2017年2月
取材後記
O様ご夫妻とお嬢様、吉田さん
土地探しからご一緒し、様々な意見交換を重ねることで、暮らしに求められているものや大事にしていきたいものを、より具体的に感じ取ることが出来たと思います。どんな時でも丁寧でポジティブな姿勢のご夫妻にとても感銘を受け、また、多くの事を学ばせていただきました。海外で収集されたセンスの良い家具たちが、元からそこにあったように馴染むような空問づくりや配色を、また、スキップした全てのフロアに屋外空間を設け、接地感と広がりが生まれるように心掛けました。一見無駄にも思える屋外空間ですが、どのテラスも楽しんでお使いいただいているご様子を伺えてとても安心しました(笑)。基礎蓄熱全館暖房(BEリンク)の快適さも伺えて、これからも健康で楽しくお暮らしいただければと思います。ありがとうございました。